亜鉛の不足が子供の睡眠に悪影響

(2015年7月) "Nutrients" 誌に掲載されたペンシルバニア大学の研究で、亜鉛の不足が子供の睡眠に悪影響を与えるという結果になりました。
Xiaopeng Ji and Jianghong Liu Associations between Blood Zinc Concentrations and Sleep Quality in Childhood: A Cohort Study. Nutrients 2015, 7(7), 5684-5696; doi:10.3390/nu7075247 (Licensed under CC BY 4.0)
過去の研究

亜鉛以外の栄養素が睡眠に与える影響
食事に含まれる炭水化物の比率が低いとREM睡眠の割合が減って深い眠りの割合が増えることが知られているほか、幼児でも成人でも鉄分不足により睡眠時間が短くなることがいくつかの研究で示されています。 鉄分は睡眠のプロセスに関与する神経伝達物質の調整に一役買っている可能性があります。

亜鉛の睡眠への影響
亜鉛は鉄に比べると睡眠との関係を調べた研究が少ないのですが、それでもいくつかの研究において幼児でも成人でも亜鉛不足により睡眠時間が短くなるという結果になっています。 ただし、これらの研究の大部分には、①血中亜鉛濃度を直接測定せず、食事やサプリメントで摂取する亜鉛の量から血中亜鉛濃度を推定した、②亜鉛の睡眠への影響を短期的にしか調べていないといった弱点がありました。
亜鉛について
亜鉛は脳機能の発達・神経伝達物質の生成・感情・行動などに影響します。 「亜鉛の必要性」によると、亜鉛の供給源は主に動物性のタンパク質です。 人類の半数近くが亜鉛不足だと言われています。
研究の方法
中国に住む子供781人(*)を対象に、就学前(3~5才)および思春期(11~15才)の時点で血中亜鉛濃度の検査と睡眠に関するアンケートを実施しました。
(*) 781人のうち4人については思春期の血中亜鉛濃度の検査は行われなかった。

そして、就学前と思春期のそれぞれについて血中亜鉛濃度が正常なグループと不足しているグループに分けて、睡眠のデータと照らし合わせました。

血中亜鉛濃度 就学前 思春期
不足 81.15 μg/dL 87.04 μg/dL
正常 83.17 μg/dL 88.49 μg/dL
結果
時点別での分析

思春期の時点(平均年齢13才)での血中亜鉛濃度と睡眠との関係を調べた分析では、亜鉛が不足している場合に比べて血中亜鉛濃度が正常な場合には睡眠時間が不足する率が約57%・睡眠障害がある率が約55%・睡眠の質が悪い率が約45%低下していました。

これらの数字は性別・学年・両親の教育水準などの要因を考慮した後のものです。 就学前の時点では、血中亜鉛濃度と睡眠とのあいだに関係は見られませんでした。

就学前~思春期にかけての分析

就学前~思春期にかけての分析では、就学前の時点で血中亜鉛濃度が不足していた場合に比べて正常であった場合には、思春期の時点において睡眠効率(布団に入ってる時間に対する眠っている時間)が悪い率が約83%低く、睡眠の質が悪い率が約64%低いという結果でした。

これらの数字は性別・学年・両親の教育水準・就学前の睡眠の質などの要因を考慮した後のものです。