睡眠薬とプラシーボの併用

(2015年8月) "Sleep Medicine" 誌に掲載されたペンシルバニア大学の研究で、睡眠薬の用量が半分でも不眠症に効果があり、さらに睡眠薬とプラシーボの併用も有効であるという結果になりました。出典: Chronic Insomnia Sufferers May Find Relief with Half of Standard Sleeping Pill Dosing Regimen

今回の結果を投薬プランに取り入れれば睡眠薬の服用量が少なくて済むために、睡眠薬の副作用やコストを抑えることができます。

研究者は次のように述べています:
「睡眠薬は連用によって効き目が薄れるうえに、長期間の服用により依存症と副作用(昼間の眠気・吐き気・筋肉痛など)のリスクが増加します」
研究の方法
この研究ではまず、慢性的な不眠症(*)の成人患者74人に、ゾルピデム(アンビエン)という睡眠薬10mgを4週間にわたり服用してもらいました。
(*) 1週間のうち3日以上において夜に眠れないという状態が1ヶ月以上続くことを「慢性的な不眠症」と言います。
そして、睡眠薬の効果があった人たちを次の3つのグループにわけて12週間にわたる試験を行いました:
  1. ゾルピデムを毎晩10mgまたは5mg服用するグループ
  2. ゾルピデム10mgを週に3~5日だけ服用するグループ(服用する日としない日が混在する)
  3. 処方されたゾルピデム10mgのカプセルの半数がプラシーボだというグループ
結果

3つの投薬プランのいずれも睡眠の改善に有効でしたが、不眠症の改善度合いが最も低かったのは2のグループでした。

研究者のコメント

「投薬戦略として採用されることが多いのが2の方式ですが、今回の試験で最も結果が悪かったのが2でした。 『低用量で始めて用量の増加ペースも遅くする(start low and go slow)』というスタンダードな方式も良くありませんでした」

「結果が良好だったのは『高用量で始めて用量を減らす(start high and go low)』」という方式でした。 これは、10mgで服用を開始して期待する結果が得られた時点で、①用量を減らす、②プラシーボを併用する、または③服用しない日を設けるようにするというものです」

「当初の服用量として10mgが必須なのかどうかは不明ですが、少なくともその後の維持期間において10mgのも用量が不要であるのは確実です」

「今回見られたプラシーボの効果には、薬の効果の条件付け(conditioning)も寄与していると思われます。 すなわち、条件付けによってゾルピデムの(薬剤ではなく)カプセル自体がゾルピデムの効果を誘発している可能性があります。 そしてこのプラシーボの効果が、本物のゾルピデム10mgのカプセルが処方薬に含まれていることによって維持されるのかもしれません」
条件付けというのは古典的条件付けのことでしょう。 ゾルピデム5mgが使用が有効なのにもプラシーボ的な要素が関係してそうですね。
製薬会社にもメリットが
プラシーボはゾルピデムよりも利益率が高いため、プラシーボの併用は製薬会社にとってもメリットがあると考えられます。